教育心理学

  
中城 進 著

教育という現象を心理学的に理解することを目的にした入門書。「子どもの理解」「発達」「学習」「適応」「評価」「障害児の心理と特別支援教育」の6つの領域で教育現象をまとめる。

A5判・248ページ 定価2,310円(本体2,200円+税)
ISBN 4-86108-035-5 C3011 \2200E
2006. 9. 1  第1版 第1刷

目 次

はしがき
目次

序章 教育心理学とは何か
  第1節 教育心理学を学ぶ理由
    1.制度上の理由
    2.教育実践上の理由
  第2節 教育心理学で何を学ぶのか
    1.5つの領域
    2.子どもの理解方法
    3.「発達」の領域
    4.「学習」の領域
    5.「適応」の領域
    6.「評価」の領域
    7.「特別支援教育」の領域

第1章 子どもの理解方法
  第1節 様々な面の理解
    1.学習面に関しての子ども理解
    2.言語・運動面に関しての子ども理解
    3.心理・社会面に関しての子ども理解
    4.進路面に関しての子ども理解
    5.健康面・感覚面に関しての子ども理解
    6.生活面に関しての子ども理解
  第2節 行動・心理の理解方法
    1.観察法
    2.面接法
    3.心理検査法
    4.記録・作品の分析
  第3節 子どもの環境の理解
    1.子どもの環境の理解の意義
    2.学校の理解
    3.家庭の理解
    4.地域の理解
  第4節 哲学・思想・信念・価値観などの理解
    1.子どもの哲学・思想・信念・価値観などの理解
    2.信頼の関係の構築
    3.カルテの作成
    4.判断の停止
    5.共感的理解
    6.関係性の理解
  第5節 理解者自身の理解
    1.理解者自身の理解の意義
    2.理解者自身の哲学・思想・信念・価値観などの理解
    3.理解者自身の援助サービス能力の理解

第2章 発達の基礎
  第1節 発達とは何か
    1.「発達」という言葉
  第2節 発達の要因を巡っての論争
    1.「生得説−経験説」論争
    2.「遺伝説−環境説」論争
    3.「成熟優位説−学習説」論争
  第3節 発達の特徴
    1.分化・統合――未分化から分化・統合へと――
    2.方向性――頭部から末端へと――
    3.順序性
    4.連続性
    5.領域における異質の速度
    6.個人差
    7.臨界期
    8.相互作用
  第4節 発達の理論
    1.発達段階
    2.発達理論

第3章 知的機能の発達
  第1節 知能とは何か
    1.知能という言葉
    2.知能の種類
    3.知能検査の開発
  第2節 知能構造の発達
    1.知能構造の発達段階
    2.知能構造の発達要因
    3.知能と遺伝
    4.学習者の知能観とその行動

第4章 性格
  第1節 性格という言葉
  第2節 性格の理解方法
    1.性格の類型論
    2.性格の特性論
  第3節 性格形成への影響要因
    1.外的要因
    2.内的要因

第5章 学習の動機づけと行動
  第1節 学習と動機づけ
  第2節 動機づけ行動の過程
    1.先行要因の潜在
    2.欲求の生起
    3.動機の成立
    4.誘因の認識
    5.課題の分析
    6.主観的予測
    7.課題の選択
    8.起動の決断

第6章 学習の基本メカニズム
  第1節 学習とは何か
    1.生得性行動と獲得性行動
    2.学習の定義
    3.学習の種類
    4.連合理論と認知理論
  第2節 連合理論
    1.パブロフの古典的条件づけ
    2.ソーンダイクの試行錯誤学習説
    3.スキナーの道具的条件づけ
  第3節 認知理論
    1.トールマン
    2.ケーラー
    3.モデリング

第7章 学習指導
  第1節 問題解決学習
    1.問題解決学習とは
    2.シカゴ大学での実験室学校
    3.問題解決の過程
  第2節 ウィネトカ・プラン
    1.ウィネトカ・プランとは
    2.「一般的に必要不可欠なもの」と「創造的集団活動」
    3.ウィネトカ・プランの特徴
  第3節 ドルトン・プラン
    1.ドルトン・プランとは
    2.「主要教科群」と「副次教科群」
    3.ドルトン・プランの広がり
  第4節 プロジェクト・メソッド
    1.プロジェクト・メソッドとは
    2.4種類の学習領域
    3.プロジェクト・メソッドの特徴
  第5節 モリソン・プラン
    1.モリソン・プランとは
    2.5種類の教科目と5段階の学習過程
    3.モリソン・プランの特徴
  第6節 イエナ・プラン
    1.イエナ・プラン
    2.「課程」と「集団教授」
    3.イエナ・プランの特徴
  第7節 プログラム学習
    1.プログラム学習とは
    2.プログラム学習の基本的原理
    3.「直線型プログラム」と「分枝型プログラム」
  第8節 完全習得学習
    1.学校学習理論の主要変数
    2.形成的評価と治療的指導
  第9節 発見学習
    1.発見学習とは
    2.教科の基本構造
  第10節 有意味受容学習
    1.有意味受容学習とは
    2.オーガナイザー
    3.有意味学習の成立条件
  第11節 適性処遇交互作用

第8章 学級集団
  第1節 公式集団としての学級集団
  第2節 教員と子どもとの人間関係
    1.子どもの学業成績と教員の行動との関係
    2.教員の期待と教員の行動との関係
    3.子どもの気質と教員の行動との関係
    4.子どもの学業成績と教員の行動との関係
    5.子どもの認識能力と教員の期待との関係
    6.男女による別扱いと教員の言動との関係
  第3節 学級の雰囲気
    1.教員のリーダーシップと学級の雰囲気
    2.達成目標と学級の雰囲気
  第3節 子どもどうしの仲間関係
    1.仲間関係の発達
    2.ギャング集団
    3.チャム・グループ
    4.ピア・グループ
    5.ピア・プレッシャー
    6.ソーシャル・スキル
  第4節 学級集団の理解
    1.ソシオメトリックテスト
    2.ゲス・フー・テスト

第9章 学校における問題行動
  第1節 いじめ
    1.「いじめ」とは
    2.近年のいじめの特徴
    3.いじめの具体例
    4.いじめの行為者の特徴
    5.いじめの被行為者の特徴
    6.いじめの被行為者の徴候
    7.いじめの防止策
  第2節 非行
    1.非行少年とは
    2.非行化傾向
    3.非行の徴候
    4.非行の防止策
  第3節 不登校
    1.不登校とは
    2.不登校の原因
    3.不登校状態が継続している理由
    4.不登校の徴候
    5.不登校の防止策

第10教育評価
  第1節 教育評価とは
    1.教育評価の目的
    2.学校調査
    3.自己点検・評価
    4.授業評価
    5.成績評価
  第2節 成績評価の目的
    1.管理目的
    2.指導目的
    3.学習目的
    4.研究目的
  第3節 学習と評価
    1.学習評価の方法
    2.学習評価の種類

第11章 障害児の心理と特別支援教育
  第1節 「障害」という概念
  第2節 精神遅滞
    1.精神遅滞の診断的特徴
    2.精神遅滞の有病率
    3.精神遅滞の重症度
    4.精神遅滞の発症素因
  第3節 学習障害
    1.読字障害
    2.算数障害
    3.書字表出障害
    4.特定不能の学習障害
  第4節 運動能力障害
    1.発達性協調運動障害
  第5節 コミュニケーション障害
    1.表出性言語障害
    2.受容−表出混合性言語障害
    3.音韻障害
    4.吃音症
    5.特定不能のコミュニケーション障害
  第6節 広汎性発達障害
    1.自閉性障害
    2.レット障害
    3.小児期崩壊性障害
    4.アスペルガー障害
    5.特定不能の広汎性発達障害(非定型自閉症を含む)
  第7節 注意欠陥および破壊的行動障害
    1.注意欠陥/多動性障害
    2.特定不能の注意欠陥/多動性障害
    3.行為障害
    4.反抗挑戦性障害
    5.特定不能の破壊的行動障害
  第8節 特別支援教育の理念と基本的な考え方

 著者紹介



はしがき

 教育心理学をはじめて学ぼうとする人たちのために、私は教育心理学の入門書としての本書を作成することに致しました。本書では、教育という現象を心理学的に理解することを目的としております。「子どもの理解」「発達」「学習」「適応」「評価」「障害児の心理と特別支援教育」という6つの領域で教育現象を理解しようとまとめました。
 人間を理解するということは非常に困難なことです。人間を理解することは果たして人間の行ない得る行為なのかと感じられるときが私にはあります。人の心は、人間存在が限定的な存在者としての生き物であるが故に到底、普遍的なものでは有り得ません。人の心は、永遠に同じ状態に止まることはなく、時々刻々とはかなくも移り替わるものです。人の心を把握し得るという超人的な技があったとしても、把握されたものは、ごく一瞬の間のスナップショットにしか過ぎません。スナップショットを際限なく収集し、それを超人的な方法で組み立てることによって人間を理解できるのでしょうか。これも問題が残ります。
 少なくとも、瞬時にでさえも人間を理解するに際しては、超人的な技や方法が必要なようです。ましてや、「教員」と呼ばれる人と「子ども」と呼ばれる人とが関わり合う間において生ずる教育現象を理解することは、さらに困難なことです。学校の中では、ある人たちが「教員」や「教える人」となり、また別の人たちが「児童」や「生徒」や「学習者」になって、学校的な人間関係が生ずるのです。
 本書において私は、現在の教育心理学の知識や技術を駆使して、教育現象における人間や人間関係を理解し、そして初学者のためにそれらを素描しようとしました。執筆した後の今、そのもの自体へと到達し得ないという、もどかしい気持ちを私は感じております。
 本書の出版の企画に際して、暖かい理解を示してくださいました二瓶社代表の吉田三郎氏に心よりの感謝を申し上げます。
2005年11月1日
中城 進



著者紹介

中城 進 なかじょう すすむ
1952年 高知市に生まれる。
1979年 関西大学文学部教育学科心理学専攻卒業
1982年 関西大学大学院文学研究科教育学専攻教育思想修士課程修了
1988年 大阪市立大学大学院生活科学研究科生活福祉学専攻家庭教育学コース
     後期博士課程単位取得退学
現在  畿央大学教授
専攻  教育心理学、教育思想、幼児教育
主な著書
 『医療・看護・福祉のための心理学』(編著、二瓶社、1993年)
 『教養のための心理学』(編著、二瓶社、1996年)
 『教育を構想する人びと』(単著、関西大学出版部、1997年)
 『散在する権力』(単著、大学教育出版、1999年)
 『医療・看護・福祉のための心理学 第2版』(編著、二瓶社、2001年)
 『心理学』(編著、二瓶社、2003年)
主な翻訳書
 『エラスムス教育論』(翻訳・解説、二瓶社、1994年)

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