心理学実験ノート編纂委員会 B5判・192ページ 定価[本体3000円+税] ISBN 4-931199-78-X C3011 \3000E 2001. 4. 1 第1版 第1刷 |
初学者向き心理学実験実習の手引き
実験の進め方から結果の整理、
レポートの書き方まで
やさしく実験を体験できる
目次
§1 実験を始める前に
1 実験とは 3
2 心理統計法 9
3 レポートの書き方 21
4 パソコンの利用 23
§2 感覚と知覚の実験
1 ミュラー・リヤーの錯視 31
2 感覚と反応時間 35
3 重量弁別 41
4 触二点閾 49
5 係留効果 57
6 ストループ効果 ──認知的葛藤── 61
7 色の知覚 ──ベンハムの回転盤── 67
8 色覚の基礎 ──色相の判断── 75
§3 人の反応と学習
9 慣れの分析 85
10 EDA:うそ発見 89
11 皮膚電気活動の条件づけ 95
12 情動的変化と指尖容積脈波 101
13 分散・集中練習 ──練習方法の効果、学習後の経過時間── 105
14 鏡映描写 ──知覚運動学習── 111
15 心的回転 115
16 タイプAと時間評価 119
17 短期記憶 123
18 系列学習 127
19 要求水準 ──目標設定と満足感── 131
20 概念学習 137
21 カテゴリーの認知 143
22 SD法:好みの尺度化 147
§4 動物の行動の分析と学習
23 マウスのオープンフィールド活動の測定と系統差 155
24 マウスの受動的回避学習と系統差 159
25 マウスのシャトルボックス回避学習 163
26 マウスの水迷路学習 167
27 ラットのオペラント条件づけ 173
「編集にあたって」全文
編集代表 磯 博行
学生諸君に
心理学を学ぶ醍醐味は、心理学が文科系の科目でありながら、実験実習を経験できるところにある。白衣を着てグループワークを行うと、何やら研究者になった気分になれる。そんな気分になれるだけではなく、教科書に書いてある内容を実際にやって目で見て、なるほどと納得できる。さらにもっと良いことがある。それはグループで実験すると友達がたくさんできることである。心理学実習を通じてたくさんの経験をしてほしい。
諸先生に
学習心理学の教科書を開くと最初に、学習とは経験を通じて行動が変化することである、という定義が現れる。心理学のみならず大学で学ぶすべての教科にこの定義があてはまる。ところが実際はどうだろう。大学の授業時間表を見ると、大部分が講義である。昔と違って今の学生達は、テレビをつけたら数百チャンネルもの番組が選べるし、インターネットを通じて世界中の情報を選べる。さらに、携帯電話でいつでもどこでも会話が楽しめるし、ゲームの世界にどっぷりと漬かった経験もある。そんな学生たちを相手に講義するとなると、一筋縄ではいかない。授業中に私語が多い、飲食を平気でする。礼儀をわきまえず、腹が立ってしかたがない、と思っている先生がほとんどではなかろうか。それに、折角苦労して教えたことも、期末試験が終わったらすっかり忘れてしまうことが多い。
子供のころからエキサイティングな経験をしてきた学生達に、擬似経験にしかすぎない講義形式はもはや、時代遅れと私は思う。これからの時代は、演習や実習中心に直接経験を通じて学生達を教育することが大切になろう。白衣を着ることで実験者としての心構えができる。グループでの作業を通じて自分の役割を学ぶことができる。まずは態度が大切である。今まで講義で教えてきた内容は、それから始めたら良い。その意味で、この本はノートとした。実験を指導する先生は、考察のところで教科書や参考書を駆使して、しっかりと教授してほしい。
著者紹介
磯 博行 いそ ひろゆき
編集代表 兵庫医科大学助教授 専門:学習心理学・行動神経科学 基礎から応用まで、心理学・行動科学コンサルタントを目指しています
田積 徹 たづみ とおる
富山医科薬科大学第1生理学講座協力研究員 専門:生理心理学 恐怖条件づけの脳内メカニズムについて研究中
澤 幸祐 さわ こうすけ
関西学院大学研究員 専門:学習心理学 学習・記憶と情動・感情の相互作用について研究中
中道希容 なかみち きよ
関西学院大学研究生 専門:学習・思考・判断・認知心理学 人間の判断メカニズムについて研究中 地域社会への貢献についても興味があり、実践中
土江伸誉 どえ のぶたか
関西学院大学研究員 専門:学習心理学 古典的条件づけが決して「古典的」でないことを、教育や医療場面への応用技法を開発することによって証明したい
漆原宏次 うるしはら こうじ
樟蔭東女子短期大学生活学科専任講師 専門:学習心理学 動物やヒトの学習において「時間」がどのように働いているかについて研究中
荘厳依子 そうごん よりこ
関西学院大学博士課程 専門:発達心理学 親子関係に関心があり、親の行動が子どもの行動にどのように影響するか研究中
稲森義雄 いなもり よしお
ノートルダム清心女子大学教授 専門:生理心理学 コンピュータを使った心理学実験を開発中
上北朋子 うえきた ともこ
同志社大学博士課程 専門:学習・生理心理学 動物の学習と記憶について研究中
佐々木 仁 ささき ひとし
大阪大学大学院・医学系研究科・情報生理学助手 専門:行動生理学 視覚行動のメカニズムについて研究中