犬のクリッカー・トレーニング

  
カレン・プライアー 著/河嶋 孝 監訳
               舩江かおり 訳

B6判・124ページ 定価[本体880円+税]
ISBN 4-931199-96-8 C3011 \880E
2002. 10. 25 第1版 第1刷

目 次

はじめに
第1章 犬とイルカ
第2章 始めましょう――クリッカーで教える簡単な動作
第3章 トレーニングのヒント
第4章 こんなときどうする?――よくある質問
第5章 クリッカー革命
第5章 参考資料――詳しい情報とアドバイスを得るには

はじめに 

犬を愛する皆さんへ
 クリッカー・トレーニングに関心を持っていただいて、うれしく思います。このトレーニングは、嘘ではありませんし、特に特殊な方法でもありません。クリッカー・トレーニングとは、犬のトレーナーが、オペラント条件づけの正の強化を使った方法を言う言葉です。オペラント条件づけとは、動物が環境に影響を受けるのではなく、動物が環境に能動的に働きかけることで、一定の行動を発達させるという科学的な理論のことです。
 オペラント条件づけは、自然世界における動物の学習に基づいているため、いかなる状況下でも応用のきく原則です。これを犬のトレーニングに使った場合の可能性は、計り知れません。クリッカーを、警察犬、介護犬、聴導犬、生まれて間もない子犬に使おうとするトレーナーもいれば、服従競技、アジリティ、ハンティング、フィールドトライアル、臭跡追及、ドッグショーのマナーを教えたり、家庭犬の「しつけ教室」や各家庭で使おうと、方法を模索する人も出てきました。

クリッカー・トレーニングについて
 クリッカー・トレーニングに欠かせないのは、クリッカーでもえさでもありません。「強化子(行動を強化するもの)」、つまり犬が好きなもの(おもちゃ、なでることなど)と、タイミングの合った合図です。これで、人間と犬のコミュニケーションができます。まずは、クリッカーを強化子、クリッカーを合図として使ってみましょう。犬にとっても、クリッカー・トレーニングの初心者にとっても、これが最も簡単です。互いに働きかける新しい方法を、犬と一緒に学んでいきましょう。
 強化を使ったトレーニングで、教えられないことはありません。どんな行動を、どのように、いつさせるかをいったん理解させた後は、クリッカーの代わりに言葉を使い、えさをやる代わりになでてやります。言葉をかけてなでるだけなら、時間や場所を問いません。
 クリッカーを使って犬が動作を覚えると、人間がその動作を変更しない限り、犬は生涯、その動作をします。いくつかの動作を教えたら、1つごとにクリッカーを鳴らしたり褒めたりする必要はありません。全部やらせてから1回だけ強化します。慣れてくると、犬の反応を速くしたり、新しいことを教えたりしない限り、クリッカーは要りません。犬と何かして遊びたくなったときも、どうぞクリッカーをお使いください。クリッカー・トレーニングは、犬にとっても人間にとっても楽しいことだからです。
 でも、どうやって始めたらいいのでしょうか? 熟練したクリッカー・トレーナーなら、数分もあれば基本を教えることができますが、教えてくれる人は少数ですから、たいていの人は自分で学ばねばなりません。この薄い本は、皆さんに基本をお教えするものです。犬に最初の芸を教えてみてください。この本でクリッカー・トレーニングを少し理解すれば、ほかの本やビデオがもっともっと面白くなるはずです。何千何万人の優れたトレーナーが、この本で第一歩を踏み出しています。

                                    カレン・プライア



[著者紹介]
カレン・プライア
 米国の動物行動学者。1960年代からイルカのトレーナーとして「オペラント条件づけ」を実践し、1992年、初めて犬や猫のためのクリッカー・トレーニング・セミナーを開催。以降、クリッカー・トレーニングはアメリカ国内で急速に普及した。著書、ビデオなど多数。
[監訳者紹介]
河嶋 孝 
かわしま たかし
 1937年東京生まれ。文学博士。日本大学生物資源学部教授。日本行動分析学会元会長、現相談役・理事。Behavioural Processes他編集委員。
[訳者紹介]
舩江かおり 
ふなえ かおり
 1969年神戸市生まれ。大阪外国語大学卒業。

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