こころのライティング

書いていやす回復ワークブック


  
ジェームズ・W・ペネベーカー 著
獅々見 照/獅々見元太郎 訳

トラウマやなんらかのこころの動揺を抱えている人のために書かれた。ここで述べているこころのライティング(記述)の方法は、葛藤、ストレス、苦悩を克服するのに役立つ。

A5判・208ページ 定価1,470[本体1,400円+税]
ISBN 978-4-86108-039-5 C3011 ¥1400E
2007. 6. 30  第1版 第1刷


もくじ


はじめに
第1部
 ライティングの本質
第1章 なぜトラウマやこころの動揺について書くのか?
第2章 書く準備
第3章 基本的なライティングのテクニック
第4章 ライティングの見直し

第2部
 ライティングで実験してみよう
第5章 思考の停止から脱却する:意識の流れライティングと半自動ライティング
第6章 時には過酷な世界の中に良い面を見いだす
第7章 物語を構成し編集する
第8章 見方を変える
第9章 文脈を試してみる
第10章 創造的ライティング:フィクション,詩,ダンス,アートの力
参考文献


訳者あとがき

 本書は、テキサス大学の心理学教授であるJames W. Pennebaker博士が2004年に出版した"Writing to Heal: A Guided Journal for Recovering from Trauma & Emotional Upheaval"の全訳である。
 著者のペネベーカー博士は、もともと社会心理学者であるが、彼自身、個人的につらい経験をして打ちのめされていた時、その出来事について自分の感情や思いを余すこと無く書き表すこと(ライティング)によって、つらい経験を冷静かつ客観的に理解できるようになり、ついには、立ち直ることができた体験者である。この偶然ともいえるライティングの効能の発見がきっかけとなって、ライティングのいやし効果をテーマとする博士の本格的な研究が始まった。したがって、その後のライティング研究においても社会心理学者としての科学的な見方を貫いている。これは、訳者も共感できる点である。 
 この本は、トラウマやこころの動揺から回復するために周到に組み立てられた、極めて優れたガイドブックである。博士が推奨しているライティング演習をステップを追って行えば、自然と自分の苦悩を客観的に理解できるようになり、問題の悪循環を断ち切って、建設的な生き方ができるようになるでしょう。ひとりでも多くの読者が、このワークブックのライティング法を自ら試して、トラウマや苦悩を自力で解決できることを願っています。
 翻訳に際しては、本書の中核となるexpressive writingを「こころのライティング」と訳したが、もとの英語は、「こころの奥底にある感情や考えを余すことなく吐き出して書くこと」を意味する語彙である。「表出筆記」という直訳では読者にこのイメージが伝わり難いため、最初は「イクスプレッシヴ・ライティング」で通して、この言葉を世に広めることも考えたが、最終的には、読者にとってより身近に感じられる上記の表現にした次第である。また、頻出する「こころの動揺」も、もとの英語はemotional upheavalで、「感情が爆発して大きく変動している様子」を写した言葉である。これらの訳語から、原語のイメージを思い浮かべていただければ、幸いです。
 翻訳に際しては、前半と後半をそれぞれ、獅々見元太郎と獅々見照が分担したが、その後、両者で、できるだけ専門用語を用いない一般読者向けの文章スタイルに統一し、全体にわたる訳出の検討を行った。したがって、誤訳の責任は両者が負っている。
 出版に際して、畏友である二瓶社の吉田三郎氏ならびに編集部の駒木雅子氏には大変お世話になった。細部にわたって朱を入れてくれた結果、ずいぶん読みやすい文章に仕上がった。深く謝意を表したい。

2007年1月
訳者
 獅々見 照

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